top of page

4-2 白いキャンバスを持つラオスの地で

2. About the support for disabled persons in Laos, in the world.

Q.There is government supports…

現在もラオスでは、政府による障害者政策というものはほとんどないんです。

でも決して悲観していなくて、経済成長と福祉の充実というものは対応関係にあると思うので、経済が良くなれば障害者政策も充実するはずです。

せっかくの白いキャンパスに、彼らに適したもの・世界的によいとされているアイディアなどを共有していくことが大切になります。

日本では基本的に、小学1年生の時に「あなたは特別支援学校に行ってください」と言われて、障害のある子とない子とが別々の「分離型」教育です。日本的には、分けた上で最善の福祉を、という善意の下なのですが、今の世界は「インクルージョン型」なんですね。「障害があることで何者も機会を差別してはならない」と、国連の権利条約でも2006年に批准されました。長らく「分離型」を採ってきた日本が、「インクルージョン型」へと移行するのはとても難しいです。

ラオスは2008年にこの条約に批准していて、障害者もふつうの学校に通いますし、「インクルージョン型」を進めようという姿勢がみてとれます。実状としては、肝心な先生たちに障害者教育への理解が欠けていて、結果的に彼らは就学猶予という形になって学校に来なくなってしまうのですが…。

けれど、先生たちをしっかりと教育することができれば、白いキャンパスであるからこそ、日本よりもむしろ早くに「インクルージョン型」を達成することができるはずです。

Q.Economy & Welfare .

ラオスには、欧米の大学を卒業して自国に戻り、起業しようとするマインドが高い実業家が沢山います。そういった企業家にNGO団体とかは支援を願い出るのだけれど、それはもったいないと私たちは思っていて。せっかく支援してくれる層がいるのに、いつまでも慈善とかチャリティを求めていてはだめで、もっとwin-winな関係を築くべきなんです。

そこで1つの例が、ADDPが製造しているクッキーなんです。

ラオスではクッキーとかケーキとかは、なんか美味しくないの(笑)。だからラオスの富裕層は、出張とかで来日する時に伊勢丹とかで甘い物を買い占めたりするのよ。そういう話を聞いていたから、ディーラーさんにペンとかでなくて、当会のクッキーのパッケージにトヨタのロゴを入れて、裏面には「トヨタは障害者団体を支援しています」的な文言も入れて、とりあえず100箱置いてもらうことを提案したの。

ディーラーを訪れたラオスの富裕層が、そのクッキーを食べて美味しいと言ってくれたのね。トヨタにとっては、自社がいいことをしているのを社会にアピールできるし、顧客が喜んでくれたらそれは一番いいことだよね。その結果、翌月には1000箱!とってもこれは、win-winだよね。当会は障害者支援をしたいし、当会の活動が企業の収益アップにまで波及できれば、それはとても存在価値があるよね。障害者支援には、この観点がとても足りない。

経済的な観念が途上国の福祉には特に必要で、途上国にあるはずのニーズをマーケティングで探っていくのね。

2013年8月から行っているベーカリー研修(クッキーの製造・販売)。 技能を習得し、現在では販売にも力を入れていて、30以上のクライアントの販売網を持つほどにADDPクッキー工房は成長しました。 From ADDP ハンドブック

日本からプロのパティシエをお呼びし、クッキー製造を繰り返し練習。おいしいレシピに…♡

Q.Legacy of 2020 Tokyo Para.

1964年にパラリンピックを行うのは、実はとても大変だったのよ。当時は脊髄損傷の人などはベッドで寝たきり状態だったけれど、パラリンピックで車椅子バスケをやることに決まったから、急いで皆を集めて車椅子に乗せたのね(笑)。

日本はもちろん最下位だったけれど、この時に世界中からやってきた障害者の方が、障害を持っているけれど弁護士だったり、ディスコに行ったりとっても輝いていたのよ。

日本の障害当事者の方はその姿を見て衝撃を受けて、その後日本での障害者就労の先駆けとなったの。

これこそ「レガシー」だと私は思っている。だから、東京オリンピックでは開会式だけでも、途上国の人々を参加させるべきだと思います。途上国の人たちは、今は出られないけれど、経済成長に伴い彼らが出場できる10年後などが実現するのよ。日本はそういうメッセージを伝えるべきですね。

3.取材を終えて

中村さんのお話の中で印象的だったのが、障害者支援活動を行う上でラオスを“白いキャンバス”と考えていることでした。素地がないからこそ、世界的によいとされるアイディアを取り入れることができる。これこそが、NPO法人ADDPさんがラオスで活動を行う根本的な意義なのだと感じました。

男女、所得、学歴など様々な分断線が引かれている日本では、“障害”という分断線も強く深く引かれています。そんな日本から遠く離れたASEAN最貧国のラオスで、日本のNPO法人が未来図を描き続けています。

RECENT POSTS:
SEARCH BY TAGS:
bottom of page